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版画・刷り師

2011/03/09 Wed 17:47

 青原監督の新作「たけやねの里」の最終ロケに助っ人カメラマンとして仕事をして来ました。
 「たけやねの里」は民映研の縁の下クラブ的に長く出入りしている、高崎在住の前島美江さんが中心となって行っている福岡市八女の「かしろたけ」の山の整備を記録する事から始まった作業です。かしろたけは、八女でしか採れないといっても過言ではないほど地域性がある竹の品種らしいです。そのかしろたけの白くきれいなタケノコの皮を利用した工芸が、関東の高崎にあったのです。過去形なのは、今や前島美江さんがただ一人の職人だからです。そもそも、前島美江さんは、民映研の「越後奥三表 山に生かされた日々 第二部」の製作途中に奥三面で行われた民具調査の手伝いなどをして、民間の手工芸に目覚め、竹皮職人を志したそうです。
 そのかしろたけの作業を記録しつつ、かしろたけの使い道を青原監督が民映研仕込みのしつこさで追った結果、版画のバレンに行き、そのバレンを使うシーンを求めて、東京元浅草の浮世絵の刷り師を訪ねたのでした。
版画で使うバレンはご存知ですよね。小学校の図画工作に取り入れられていますから、大概の人は知っていると思います。竹の皮で包んだ小さなお盆状のもので、版木にインクを塗り紙を置き力を入れて擦ったのではないでしょうか。
 「本ばれん」は形こそ、みなさんの頭に描かれた小学生当時の記憶の物と同じなのですが、これが全く似て非なるもの。これほど「似て非なるもの」がぴたりと当てはまる事例を私は知りません。
 小学校のときに使った文房具屋さんで200円ほどで売っているバレンは、竹皮をはがすとプラスチックのお盆とボール紙が出て来ておしまい。本バレンを同様にはがすと、竹皮の下からは漆塗りのお盆、そして竹皮を細かく編んだこぶのついた紐が螺旋状になったものが出てくるのです。紙に当たる中身もかしろたけ製品なのです。漆塗りの本体は50枚近く重ねた和紙。柿渋を塗りわらび糊で張る。
 本バレンと小学校バレンがどのくらい違うかと云うと、本バレンで彫りのない板に黒い顔料を置き摺ると当然、真っ黒な紙が出来る。小学校バレンで同様に摺っても、かすれかすれの柄が出る。決して真っ黒には摺れないのでした。面白い話なのですが、バレンはまたの機会に。
 元浅草の刷り師さんには、葛飾北斎の有名な赤い富士山「富獄三十六景 旋風快晴」を摺ってもらいました。三枚の版木の裏表五面の彫りを、顔料を替え17回摺りますと一枚が完成します。極めて繊細な仕事でバレンも中身のこぶの数が違う物を摺る場所によって持ち替えて作業していました。これまた、凄い世界で面白い話はあるのですが、別の機会に。
「たけやねの里」は間もなく編集が終わり完成予定。東京でも公開されるのでまたお知らせします。
それから、映画「森聞き」が東京・ポレポレ東中野で公開されています。http://www.asia-documentary.com/morikiki/
 この作品の監督は柴田昌平。民映研にやって来ていた一人です。この人は、にこにこと人の話を聴いている割に、頑固で自分の意見を曲げないタイプ。まあ、監督という仕事を選ぶ人種は、多かれ少なかれこのタイプが多いです。所長の姫田もまさにそうです。
 映画は、全国に暮らすテクニシャンな老人100人に高校生100人それぞれが訪ね、じいちゃんばあちゃんの話を聞き書きするというイベントに参加している4人の老人と4人の高校生を追った作品。4人の老人の話は、実に民映研。もちろん切り取り方は全然ちがいますが、焼畑のばあちゃん、杉の種取りのじいちゃん、木こりのじいちゃん、茅葺きのじいちゃんたちの技は凄い。良い話を高校生たちにしてくれます。
 4月1日までロードショウしていますので、是非見て下さいませ。その後、多分全国をうろうろするんだろうと思います。
をはら筆
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民映研の日常
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